子供の頃住んでいた所に行く用事があり、ふと思い立って帰りがけ思い出の場所を寄り道しながら駅に向かうことにした。
小学生のころ通ったあのお絵かき教室はどこであったろうか?
そんなにいりくんだ場所ではなく、確かあの角をまがればすぐのはず。
まだ在った!でも空き家で誰も住んでいない様子だった。
お勝手口に通じる細い道はこんなに狭かったろうか?おぼろげな記憶がスーッとハッキリして私は小学生のあの頃に戻ってしまったような錯覚に陥る。
ここがまだ存在しているのが嬉しいような、寂しいような、あのころの私は確かにここに毎週通って絵を描いていたのだ。
近くにはお絵描き教室のお友達の家もまだ存在していた。
彼女はどうしているだろうか、私はあなたのことをよく覚えているけれど私のことは忘れてしまっているかしら。
同級生のお肉屋さんはスターバックに替わり、私がバイトしていた本屋は薬局になった。
弟が入り浸っていたプラモの店は飲食店になっていた。
父が一時連日通ったサウナのあった古い雑居ビルは真新しいビルに建て替えられていた。
子供だった頃、周りの景色や世界はいつまでも同じだと思っていた。
ノスタルジーは年を取ってこそ浦島太郎のレベル度が高くなる。ピウプより。