片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

インドの三つ星ホテル

インドについたその日は三ツ星のスタンダードホテルに泊まる。 ホテルでまったり過ごす旅ではないのでシンプルで清潔で安全以上の贅沢はいらない。などと思っていたが実際はインドの三つ星レベルは想像以上に埃っぽく古びていて壁も薄く、エレベーターも相当…

胡坐のカレーシェフ

3月上旬のインドは季節の変わり目ほんの短い春がある。 気候は日本の5月の初夏のような、昼は少し汗ばむ日差しだが吹いてくる風が心地よい。 インドに到着して夕飯はガイドさんにリクエストして有名なイスラム系のカレー屋さんに連れて行ってもらう。 シェフ…

インド式のうなずき

インドの入国審査官は私の見たところ男性ばかりの窓口だった。 手招きされて審査官の前に立ち、ビザとパスポートを渡して待つ。 窓口の前にはスキャナーのガラス面があり、どうやら指紋のデータも撮るようだ。 ガラス面は指紋だらけで汚れていてスキャンがう…

不味さ爆発

初めて旅行に行く国は気持ちが盛り上がる。 インドのデリーまでは東京から9時間、早朝家を出て羽田空港までチェックインやら荷物を預け搭乗ゲートまで来ると落ち着く。 女友達と旅行に行くのも久しぶりで日頃はじっくり話せる時間もなく、こんな時は存分に喋…

インドの菌レベル

地球の歩き方を読んでインドを学んでいる。 空いている電車移動の際はうってつけの本だ。 受験生のように、暗記こそしないけれど首っ引きになって読んでいる。 インドは気を付けることばかりだけれど、それでこそ面白い体験になりそうだ。 ひとたびインドに…

ニューデリーの天気予報

インドの観光ビザをようやく受け取ることができた。 電子申請なので大使館に足を運ばずにできるのは有難いことなのかもしれない。 色々気を揉んだけれど規定内の必要条件は十分に満たしているのでよっぽどのうっかりがなければ受け取ることができる。 パスポ…

行きたい場所

この数十年、自分の一番行ってみたい海外の場所へ旅行の計画を立てるということが無かった。 旅の可能な条件の範囲内、例えば何日休みが確保できるか、その日数内で移動できる場所はどこなのか、そしてその期間にエアチケットは取れるのか、というところから…

旅人

旅行会社からエアチケットや宿が確定できたと連絡がきた。 さあビザを申請することになる。 些細なことだけれどもドキドキしてくる。 計画を立てるのに紆余曲折をたどってきたが、ようやく形が収まって見えてきた。 スケジュールはあまり欲張りすぎてあれも…

ビザ申請

インドのビザ申請の学習をしている。 ビザは大使館に行かなくても電子申請が一番難しくないということらしいが、身元調査は厳密で、申請内容を細部に渡って入力しなければならない。 まずパキスタン関係の繋がりを何度も確かめられる。 パキスタンに行ったこ…

インド旅行の課題

そろそろインドに行けそうだ。 たしかパックンさんという人がインドで暮らせればどこでも生活できる力がつくと言っていた。 自分の子供が学びに行ったほうが良いと思う国ということらしいが一般的な日本人の親なら子供に対してそのような発想はなかなか、し…

海外観光客のお目当て

20代のアーティストの女性が香港からやってきて一緒にお食事をすることになった。 日本の実用的な工芸に興味があるという。 私は工芸については全く知識もなく、彼女のほうが日本の工芸家のことをよく学んで知っている。 海外からの観光客は日本の中にある何…

トイレが怖い国

インド旅行へ気持ちが盛り上がっている。 衝動的に7月ごろの南インドのヨガツアーに申し込んでから、いや北インドも見ておきたいという気持ちがムクムク芽生えてきてお友達で行ってみたいという人も現れたのでこれはこれはタイミングかもしれないと思い調べ…

菊の御紋

かれこれ30年前アメリカへ行くのに大使館へ行ってビザの発給を受けた。 目的は留学ということでF1ビザという名称だった。 300万円以上の銀行残高証明書、申請書やら学校からの入学証明のような提出書類をもって赤坂のアメリカ大使館に行って面接をする。 ど…

1月1日に

7月にインドに行くと決めて1月1日に申し込みをした。 まずは決めないとズルズル過ごしてしまいそうだから、とにかく申し込んでおいた。 インドに行くにはビザを確保しなければならないという。 おおビザ!なんと懐かしい海外旅行の通行手形だろうか。 しかも…

旅行のタイプ

旅行好きの人といっても十人十色で、それは隣町までの散歩から南極への冒険だったり、どんな形でも旅行と言ってしまえる。 一般的にはツアーで名所旧跡のお任せ旅行にするのか、何かもっとはっきりした目的を達成するために旅行をするのか、勝手気ままに放浪…

タイムトラベル散歩

子供の頃住んでいた所に行く用事があり、ふと思い立って帰りがけ思い出の場所を寄り道しながら駅に向かうことにした。 小学生のころ通ったあのお絵かき教室はどこであったろうか? そんなにいりくんだ場所ではなく、確かあの角をまがればすぐのはず。 まだ在…

青森港から仏ヶ浦

青森県の下北半島にある仏ヶ浦という秘境へ行った日は今日のような秋晴れの日だった。 海岸沿いの絶壁近くに巨大な塔のような白い奇岩が立ち並ぶ幻想的な場所だ。 仏ヶ浦にアプローチするには陸側と海側からとある。 下北半島をぐるりと海沿いに移動するだけ…

津軽三味線青森大国

ある日青森県の下北半島にある仏が浦という最果ての絶景を見るために青森駅に降りた。 下北半島へ各所に通じる船に駅すぐ近くの青森港から乗るのだが、一泊して翌日の朝便で行くため、気の向くまま駅近辺の観光施設などを歩いた。 青森のショッピングセンタ…

物語を見つける旅⑬

ソウルの旅は兎にも角にも歩き回らなければ棒に当たらない。 都市観光はのんびり、ゆっくり、リラックスというよりも、刺激と発見と行動がなければ楽しめない。 若いお嬢さん達は朝からガッチリ朝食をとってショッピングに、推し活に、カフェ巡りに、ランチ…

物語を見つける旅⑫

韓国はスピーディーに清潔に近未来的にドシドシ変化し続けている。 ソウルの暗部、明るさという面でも暗闇がなくなって何処もピカピカに輝いている。 10年前、地下鉄の駅前には寒いなか障がい者のホームレスが乞食業をしていたり、健常者のホームレスも広…

物語を見つける旅⑪

ソウル市内の端にデジタルメディアシティ(DMC)という570,000㎡もの再開発地域が完成して10年になる。 韓国の再開発は広範囲かつ急激すぎて、ついこの前の空間がまるで別世界のように変わってしまう。 デジタルメディアシティ駅は大きな駅だが、何故か一つ先…

物語を見つける旅⑩

西大門刑務所歴史観をでる。 この場所では日本人であることが息苦しさを感じるのは自分の脳が作り出した幻想であると解ってはいても身体的に反応してしまう。 刑務所の外に出ると保釈されて自由になったような解放感だ。 韓国ドラマの釈放シーンで出所の出迎…

物語を見つける旅⑨

今までずっと行きたくもあり、行きたくもないと、いつも迷っていた西大門刑務所歴史館へ行くことにした。 日本の占領時に日本政府により作られた監獄で、植民地支配の間は抗日独立運動家が投獄されていた。 1945年解放後も民主化運動家の犠牲者の時代が続い…

物語を見つける旅⑧

南大門市場の入り口でホットク屋の屋台が人気だ。 野菜ホットクが一番人気で、中には野菜と春雨の和え物、チャプチェが入っている。 揚げたての口が火傷しそうなほどの熱々のホットクは出来立てをかぶりつくのが一番おいしい。 ソウルの広蔵市場で屋台の食べ…

物語を見つける旅⑦

ソウルに行くと大体朝ごはんは決まっている。 汁物の店で一品一択なのでただ席に着けば注文せずに自動的に持ってきてくれる。 プゴクという、干し鱈から作ったスープのお店に行く。 柔らかく煮込んだ干し鱈とかき卵と細切り豆腐、とても薄味なので塩味調節や…

物語を見つける旅➅

ソウルの国立中央博物館で3時間ぐらい歩き回った。 途中休憩にベンチやソファがふんだんに設けられ、喫茶店やカフェ、レストランも館内に併設され、1日中過ごせるようになっている。 鑑賞の途中、韓国語でのツアーガイドがとても丁寧に情感をもって案内をし…

物語を見つける旅⑤

観光客で人がたむろするところはつまらなく感じる。 観光客慣れした現地の人とはお互いビジネス会話でショッピングだけならよいだろうけれど、日本人のニーズを先取りしすぎるのが気に入らない。 旅なら未知との遭遇と発見が一番の目的だ。 宮殿や博物館、美…

物語を見つける旅④

ソウル市庁舎の近くに宿をとったので、近くのすぐ近くの徳寿宮という朝鮮王朝最後の皇帝が最後に過ごした宮殿に行ってみた。 ほかの宮殿と比べるとこじんまりとした宮殿ではあるのだが、それでもソウルど真ん中にでありながら喧噪から隔離されるほど静けさの…

物語を見つける旅③

私の旅は、地元人がありきたりで当たり前と思えるような、外部の人間からでないと分からないその場所らしさの面白さの発見だろうか。 今回のソウルは朝の6時に下町の銭湯に行ってみた。 零細町工場密集地域のウルチェロ3街あたり、タクシーも通れないような…

物語を見つける旅②

2015年以前には毎年1回ぐらいは韓国へ遊びに行っていたのだが、8年も経ってしまうと搭乗手続きやら現地の土地勘やら旅のコツを忘れてしまう。 そもそもこのコロナ禍を経て、出入国の手続きの混乱や戦争による燃料費の高騰、そのダブルパンチを食らった航空業…