片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

変わりゆく街の記憶 チカン注意

子供のころ家族で暮らしていた町に行った。

駅から家までの道、いつも通っていた道、たまに通る道、懐かしいようでいて随分変わってしまったような景色。

この通りは狭くて樹木も多く暗い通りだった。

昔昔、小学一年生の春、中学生ぐらいの男子に囲まれてパンツを下ろされたことがあったっけ。

そういえばあの後あの道は二度と通らないようにしていた。

今はあの鬱蒼とした印象はなくなったが、まだチカンが好む通りらしく、チカン注意の看板が通りのとば口に掲げられている。

母が買い物の帰りに揚げたてのねじりパンを買ってくれた小さなパン屋さんはとうの昔に無くなったけれど建物の前を通ると暖かい油の滲んだ包を思い出す。

老舗のケーキ屋さんは今も繁盛していて変わらぬ定番のケーキを販売し続けているのが逞しい。

通り沿いの住宅は少しずつ変容していき、住んでいる人の代が変わったり、転売されて新しい住宅になったり、ゆっくり、ゆっくりこの町の建物も登場人物も入れ替わっていくのだ。

 

年を取ったから味わえるノスタルジア。 ピウプより。