このところ寒くて曇りが続くと寂しい気持ちになってくる。
ショパンのピアノはこの心情を美しく掻き立ててくれるような響きだ。
ショパンのノクターンを聞くと晩年の母と車いすで散歩した道を思い出す。
ピアノ曲を流しながらの車いすで散歩は母も気持ちよかっただろうし、私も楽しかった。
よく車高の低いトッポイ車に乗った若い奴が大音量の低音R&Bで走行しているのをみるけれど、私たちの車いすはお上品なショパンのピアノ曲を流しながら優雅なお散歩だ。
秋の空の青さは一年の中で一番美しいと思う。
そんな秋のお散歩で母と何も会話はなくてもショパンのピアノ曲が盛り上げてくれた。
母は音楽は好きであったし、最後まで聴覚を楽しむことができたのではないかと思う。
もうあの散歩道を散歩することもないだろうけれど、ショパンを聞くと母とのあのメランコリックな散歩道を思い出す。
じっとしているのが苦手で風の停滞しているところが嫌いだ。だから移動していたい。
ピウプより。