片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

埋没する一日

秋晴れの穏やかな午後、公園を歩いた。たまに通る風が木の枝を揺らし葉と葉がこすれあって木のさざ波のような音が安らぐ。木漏れ日も夏のスポットライトのような強いコントラストはなく柔らかなグラデーションで地面をチラチラ照らしている。

ああ、いつまでもどこまでも気持ちよく歩いて行けそうだ。今日の夕食は何にしようか?そういえば柿をまだ食べていないな、彼女はあの後どうしているだろうか?とりとめのない事をあれこれ考えながら歩く。

昨日という日は取り立てて印象深い出来事もなく、この日はこれからの毎日の日常に埋没して忘却してしまう日の一つだろう。これから何年後かに、偶然この日を思い出すだろうか?似たような日に山積みに重ねられて、そんな日もあったかもという程度の。

そんな日が延々とにいくつもいくつも重なり合ってわたしの今になる。風景も同じように見えて毎日気づかぬほど少しづつ変化して、いつかこの日に見た景色も全く違うものになっているだろう。昨日はもうセピア色に褪せていく。

秋の日はつるべ落とし、っていうけどはたして現代つるべを使う所ってどこかあるかしら。言葉もいつかセピア色に褪せていく。ピウプより。