新聞の記事によると最近の園芸ブームで桑の苗木が売れているとの事。
西洋ではマルベリーと呼ばれる桑の実を見たり、食べてみたかったり、といのが動機らしい。
私が子供の頃は母の実家付近にはまだ桑の木がたくさん植えられていて、それはお蚕さんの餌の葉として栽培されていた。
そういえば、あんなに桑の木が鬱蒼とするほどあったのに今はすっかり見かけない。
子供の頃は、そんな桑の実など気にも留めていなかったし、そんなものが実ることさえ知らなかった。
誰か食べれることを教えてくれれば遊びながら食べただろうに。
時代が変わると価値観のとらえ方も楽しみ方も全く方向性の違うものに変わる。
茨城県で育った父と母はそれはそれはお蚕さんを大切にしていたという。
当時はお蚕さんを育てる農家もあって誰もがお蚕様ををオコさまとお呼びしていたという。
お蚕さんのために桑の葉を摘んで飼育する棚はオコさまがむしゃむしゃ食べる音が朝から夜もずっと聞こえてきたという。
父はおもちゃ替わりにオコさまをポケットに忍び込ませていじっていた。
それを聞いて私は一瞬気持ち悪いな、と思ったが、しかし絹を作り出すオコさまの肌はしっとりツルツルとして何とも言えない気持ち良い触り心地であったということに妙な説得力があった。
私も桑の苗を買って育ててみようかと思う。
山の畑の 桑の実を 小籠に摘んだは まぼろしか。ピウプより。