片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

明治生まれ祖母の日常

祖母の時代の暮らしはどんな一日だったか考えることがある。母の実家は結城紬の織元が家業だったので家事のほかにも糸を紡いだり機織りをしたり日々過密スケジュールだったに違いない。私が子供の頃の母の実家には、まだ台所が広い土間になっていて炊事用の竈と五右衛門風呂の竈があった。土間の端に増設した素朴なシステムキッチンが、ちぐはぐな時代ギャップの印象だった。祖母は水を井戸から汲み、かまどでご飯を炊き、汁を作る。たらいに冷たい井戸水を貯めて屈んだ姿勢で手洗いで洗濯をする。たまには、おかまの煤をとったり、着物の虫干しをしたり、布団をほしたり。日がな一日手を動かし、体を動かし人力で家事と仕事に励んでいた。江戸時代の時代劇に出てくるような暮らしに近かったろう。私の世代の祖母達は明治生まれの人なので和装が殆どだった。私の祖母も生涯和装で通した人だと思う。ある夏の早朝に祖母が下着のようなワンピースでラジオ体操をしているのを見たのが唯一洋装の祖母の姿だった。

孫の私は洗濯機で洗濯を任せホットクックで料理を任せ掃除機が掃除をして、お風呂も自動的に準備。未来の距離が短くなってきたのか、進歩の速度が速いのか。ピウプより。