片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

バッケ=ふきのとう

子供の頃文通にあこがれて子供向けの新聞でペンパルを募集したことがある。そこで東北に住む女の子と文通することになった。とても文章の上手な女の子で確か秋田の子だったような。私は雪国にあこがれて、いつかカマクラの中でお餅を焼いて食べてみたい夢があった。

雪国の人たちにとって春というのは待ち焦がれる季節であり、希望の季節であることを教えてくれた。自然に遠い東京の住宅街で暮らすわたしに、バッケ=ふきのとうについて実感のわく春の印がどんなに喜ばしいものかが書かれていたのを印象深く覚えている。

彼女には今でも申し訳なく思っているのは、私の手紙の内容が退屈で平凡な日常を書いていただけで、彼女が感慨深くなれるような文章を書くことができなかったこと。彼女のほうがたくさん地方特有の食べ物や方言などを教えてくれたのに私が住んでいるところはのっぺらぼうな人間ばかりが暮らしているような感じ。挙句の果て書くことがなくなってしまい自然消滅してしまった。今はどうしているだろうか?バッケを楽しみにしているだろうか?

フキノトウを見ると彼女のことを自動的に思い出す。今もバッケが八百屋にやってくると嬉しくなる。 ピウプより。