手紙を整理していたら、父からの手紙がファイルになって出てきた。
そういえば私が渡米中、父と文通をしていたのだ。
手紙というもの自体を書かなくなってどのくらいになるだろう。
父は口下手な人で、子供の頃からあまり喋ることもなかった。
私も引っ込み思案な、無口な子供でもあったし。
だから父がどんなことを考えて、感じて、思っているのか分らなかった。
私が渡米して、手紙を書き始めたのは、安心してもらうためと、
異国の習慣やら、生活、食べ物、文化、そんな身の回りの細々としたこと
を書いて面白がって貰えたら、と思って。
父もマメに返信をくれたので、結局文通のような感じになった。
初めて父がどんな人なのか、日々の中で何が面白くて、何に困って、
どう感じているのか良く分かるようになってきた。
こうやって手紙を書ける状況はとても幸福だ。
なんだか父は昔とは別の人間になったような、、
いや昔から同じ人なのだけれど、わたしにはそれが見えていなかっただけ。
多分、父も手紙を書いて伝えることを、楽しんでいたに違いない。
生活の中で見過ごしてしまいそうなことも、これは手紙に書いておこう、
などと心に止めながら毎日過ごしていたに違いない。
私は突拍子もないことばかりする子供、と父には思われていたように思う。
でも父にとってはそれが面白かったんじゃないかな?
あなたともたくさんお手紙したね。
1円切手をたくさん貼って、郵便屋さんを困らせたことも。
お手紙って書くほうも貰うほうもうれしいよ。ピウプより。