アンゼルム・キーファーというドイツ人アーティストのドキュメンタリーを観てきた。
アンゼルム・キーファーの作品は風景そのもので、広大なインスタレーションは美術館に収まり切れない。
90年代にニューヨークの近代美術館(MOMA)で初めて観た時には、これほど臨場感を伴う芸術表現があるのかと知恵熱が出るくらい圧倒されてしまった。
なんの説明もなく作品を見ることで直観的に感じられるものが鋭く重い。
この作品の風景を知っているたくさんの人達は誰なのか、ドイツ人なのか、それとも人類なのか、考えてしまう。
作品の重量といい規模といい展示する美術館はかなり限られているので鑑賞できる機会がほぼ無い。
日本での展示はタブローサイズのものでないと無理だろう。
今回のドキュメンタリーはヴィム・ベンダース監督の3D映像で作品の広大な規模感をじっくり味わうことができた。
作品が制作されるのは、まるで巨大な鉄工所か、造船所か、それとも何か収容所を連想させるような建物だということをで知った。
重く、巨大な作品が膨大な数で収納されていて、この工場、施設自体が作品と言っても良いような迫力。
この作品の前に立つことで、観ている自分も作品の風景の一部になり、逃げることのできない圧力を感じる。ピウプより。