渋谷ユーロスペースで香港の流れ者たちという香港の若い映画監督の映画を観てきた。
渋谷ユーロスペースはミニシアターの老舗でなかなか世の中に出回らない、ここでしか見ることのできない作品を上映している貴重な映画館だ。
香港のホームレスの居場所についての物語なのだけれど、現代は全世界的に共通して大都市には住むところのない人たちは右往左往しながら生活をしている。
特に都市開発が目覚ましい場所は貧民街さえ無くなってホームレスの居場所はなくなっていく。
汚れた服を着た人、明らかに路上生活をしている身なりの人、自分自身さえ放棄してしまっている人。
そんな人たちも人間なら誰でもがそうであるように人生のスタート時は何も持たない赤ちゃんで、誰かに守られて生きてきたのだ。
主人公の過去は深く触れていないけれど、彼の最後のアイデンティティと自尊心の砦は1枚の写真。
多分自分の子供と一緒に撮った古い写真とその時の記憶が彼の財産のすべて。
お釈迦様とて自らのホームレスのような人だったのだろう。ピウプより。