片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

千のナイフ

坂本龍一さんの千のナイフというアルバムを持っていた。高校生の頃何度あのレコードに針を落としただろう。シンセサイザーというコンピューターによる合成音の楽曲が出て、冨田勲さんとか喜多郎さんとかシンセサイザーって理工系の音楽のイメージを感じた。コンピューター・サイエンスを知る人にとっては大変な計算式とか入力作業とかが解って評価できるのだろう。私には坂本さんのシンセサイザーの音作りはファインアートでコンピューター臭のない、人間の細胞に染み込んでいくようなような音に聞こえた。聞く日によって聞く日の自分の状態によって耳に感じ取れる音が違うような、暑くかんじたり、清々しく感じたり、憂鬱な日に上手く溶け込んでくれるような音であったり。画学生であったので油絵を描きながらこのアルバムを何度も繰り返し聞いて絵を仕上げた。レコード盤を汚さないようB面に返したり、A面に戻したり、気を付けていたが、結局どこかに絵の具が付いてしまっていた。あのレコードはどこへ行ってしまったろうか?

今、あのアルバムにあるサマーナーバスという曲がリフレインしている。私の感性の初期化をした音。ピウプより。