現在地のまなざし 展は5名の新進フォトグラファーによるオムニバス写真展。
パステルカラーの板ガムをちぎって形を作り毛皮の上に並べた写真、
人工的で退屈で、平らな風景につくりかえられた被災地の写真、
警察の捜査資料のような写真や犯罪者らしき人の写真など、ドラマの小道具のような書類の写真、
パーソナルな生活の日記的スナップ写真であったり、
大量に捨てられた知らない人の写真を手にとって見ることのできるインスタレーションであったり。
どの写真にも個人的な意味があるのだろうけれど、他人にとっては何も意味をなさない。
昔の写真は紙にプリントして保存し、膨大な量の紙焼き写真が年を取るごとに増えていった。
旅行から帰ってきた人に同じような写真を何枚も見せられるのは苦痛な時がある。
本人にとっては写真は記憶を留めるための大切な自分の思い出の写真なのだが他者にとっては味気のない、どうでも良いものなのだ。
作者がある日ある時、撮した一枚の写真の中には、写っていない事やモノまで見える。
作品を鑑賞するのと同時にフォトグラファーの視点を想う。
平和な日常の影に隠れてしまったダークサイドが見えるのかもしれない。ピウプより。