オランダ絵画の巨匠レンブラントは多くの人が知る画家だろう。
夜警は美術の教科書などには必ず掲載されるような彼の作品。
学生の頃、レンブラントは美術史上特筆すべき天才画家、画伯と言われるような崇高な巨匠という人間像をイメージしていた。
初めてオランダのレンブランドの家に行ったときにレンブラント像がもっと身近な愛すべき人間のように感じられた。
レンブラントは肖像画や特に集団肖像画を描いて人気の職業画家だった。
工房には弟子を抱えて複数の注文作品を仕上げて経済的にも成功していたようだ。
立派な家や美術品を買い集め、若く美しい伴侶、子どもにも恵まれて名誉と財産を得たが、時代の変わり目に注文は減って絵は売れなくなり、妻や子供達がつぎつぎに亡くなり、とうとう破産してしまう。
大きな家を手放し、下町の暮らしで生涯を終えたらしいが、そんな暮らしのなかで描かれた肖像画や小さな作品、そして自画像は、気負いもなく、柔らかい微笑みの作品。
あの立派な成功者ばかりを描いていた巨匠の晩年は明るく優しいものに見えた。
レンブラントのたくさんの作品を見ると、ただ職業画家として描くだけでなく、絵を描くことを楽しんで、絵を描くことが本当に好きだったのだと感じる。ピウプより。