バンコクに初めて行ったのは10年ぐらい前で、タイ料理が好きだからという漠然とした目的だったので食べ物以外の観光はガイドブックに載っているおすすめの場所を適当に選んで行っていた。
思えば地球の歩き方を手にもってキョロキョロ歩く観光客丸出しの日本人であった。
その日はワットプラケオというお寺に行くのに川を渡らなければならなかったのでタクシーの運転手に船着き場に行ってほしいと頼んだ。
運転手は個人のボート屋の船着き場に連れていき、ここでボートを頼んで行くのが良いという。
私がイメージしていたのは公共交通機関としての渡り船の船着き場だったのだが。
ここら辺で怪しくなってきたのを感じた。
ちょっとした観光客の罠にはまってしまったのを。
ボート屋さんのチャーターは2~3千円ぐらいだったかで色々なお寺へボートで巡ってくれるというのだけれど、そんなに高くはないし、またタクシーを拾って公式の船着き場に行くのも面倒くさくなってしまった。
これがちょっとしたおちょくり商売の手なのだ。
渡りに船と言ってよいのか、仕方なく流れに任せてというのか、東南アジアの旅行のよくある小さな罠にかかってしまった。
今はスマホ片手にマップも翻訳アプリもタクシーアプリもあってスマートな観光客ばかり。おちょくり商売もなかなかやりにくくなったようだ。ピウプより。