片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

日記のような絵画

アンドリュー・ワイエスは自身の生まれ住む土地から離れず、身近な風景を描き続け、身近な人たちをモデルにして、同じ人物を描きつづけていた。

絵の印象はとても静かで、でも風は吹いている。広がりのある自然と空間の中に人物が遠くを見つめている。静物画は誰もいない部屋と窓であったり、人の存在しない最果てのような風景画であったりする。ともすれば退屈になってしまうような風景を、愛着を感じさせて、いつまでも見ていたい絵にしてしまう。

彼の絵は悲しく寂しい気持ちにさせつつも、それとは矛盾した、清潔な清々しさ、穏やかな気持ちにさせてくれるような、まるで彼の日常生活の断片を淡々と見ているような作品。写実的な絵で、白い色が美しい。たぶん白にはこだわって、白が描きたくて対象を選んでいると思う。

想像するに、絵画は彼の日記なのかもしれない。生活の中にある静かな美しさ感動、身近な人への敬愛、自分の暮らす自然や空気、それをありのままに、写実しているだけでなく彼の心が抽出した美しさを写実している。その強さに絵を観ている私たちの心は揺さぶられてしまう。

久しぶりにアンドリューワイエスの作品を観た。静かな絵画だけれど見ていると心が動く絵画。ピウプより。