片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

痛快な芸術家

バンクシーという画家のドキュメンタリー映画を観た。私がバンクシーを知ったのは確か世界一眺めの悪いホテル(パレスチナベツレヘム)を作って話題になったころ。それまでは断片的に落書きアーティストでそんな人いたな~ぐらいの印象であった。

この映画は覆面アーティストのバンクシーの今までの発表されてきた表現やゲリラ的パフォーマンスの映像、周りのスタッフの証言でこの謎の作家を浮かびあがらせている。彼の表現は政治的で、社会的意義でもあり、衝撃的・感動的なユーモアもある。そして日本の鼠小僧か韓国のホンギルトンのような非現実的な愉快痛快なパフォーマーでもある。

衝撃的なニュースとして報じられた、サザビーズのオークションからこの映画は始まる。彼の落書きで一番知られている風船と少女の絵が豪華な額縁に入れられて、その日のオークションでは目玉であった。そしてとうとう落札が決まりハンマーが打たれ、拍手が起こると、その瞬間、額縁からシュレッダーのように切り刻まれた絵がまるでパスタマシーンのパスタのように垂れさがってきた。会場は一瞬にして凍り付く。その一部始終の映像とシュレッダーのスイッチを入れるバンクシーらしき人の手元が映る。その皮肉に満ちたアクシデント一部始終を含んだアート作品。しかも、その切り刻まれた後、ファックス付き額縁の絵の価格は18倍ぐらいに跳ね上がったとさ。

価値観をぶっ潰しながらもシンプルで強いメッセージが鮮烈鮮明。ピウプより。