片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

共存共栄

毎月の坐禅で和尚様が床の間の掛け軸についてご説明を頂く。今回は杓底一残水という一文で永平寺の門前の石柱に刻まれた道元禅師のお言葉であると仰る。私は4歳の頃を思い出した。私の幼稚園は曹洞宗のお寺だった。園長先生であった和尚様からいつもお水を大切になさった道元さまのお話をきかされていたことを掛け軸の一文から思い出した。この言葉には続きがあり、永平寺門前右の石柱に杓底一残水左に汲流千憶人とあるらしい。柄杓に取ったお水は自分の飲む分だけ、残ったお水は川の流れに返せば、巡り廻って誰か沢山の人に使われるという心である。やはり道元様はお水を必要な分だけ使い後は還すこと、人間も含めて万物と資源を共有すること、大切にしていくことを教えてくださっている。あの寺小屋のような幼稚園で学んだことを年を重ねた今、坐禅会でまた改めて学びなおせた。それは共存共栄、調和のとれた世界になるよう、ささやかな日常的な行いのなかに込めていくこと。

掛け軸の書の中にあるイマジネーションは特定どこかを意味するのではなく全ての場所まで広がっている。物理的な場所だけでなく心の中にも。ピウプより。