片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

シェリム・アップで蒲田行進曲になってしまう。

ジャングルの中にあるアンコールワット宮殿とその遺跡群は気持ちのよい場所。夏草や、つわものどもが夢の跡、松尾芭蕉先生も中らずと雖も遠からず、と仰るだろう。自然と人工物、素材は石なので融合して一体化している。美しい彫刻で縁取られた建物に苔が生え、蔦が絡み、長い長い時間の経過で作られた場所になっている。30年前位前に内戦時の地雷の処理などで観光の復旧に漕ぎつくまでは忘れ去られた場所だった。

そんな自然をできるだけそのままにしてあるので足元は良くない。そして建物内に入るのに急峻な階段でまたそれも凸凹とした不揃いの石を積んだものなので注意が必要だ。遺跡群を回るとそれこそチョットしたハイキングか登山に値するぐらい消耗する。

遺跡の中で比較的緩やかな石段を下ったとき、つい気が緩んで足を滑らしてしまった。ゴムまりのように加速度をもって転がり続ける私。幸い石段の下は広々とした芝であった。周りの観光客は固唾をのんで私を見守ってくれていた。恥ずかしさが先立って、無事であることを証明するようにさっと立派に立ち上がった。実際は足が捻挫で痛かったがそれだけで済んでよかった。誰かが拍手?してくれたような気がした。

日本語が日本人である私よりも丁寧で美しいガイドさんがとても心配してくれて、心も綺麗な人だからしゃべる言葉も美しいのだな、と思ったとさ。ピウプより。