片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

寡黙に歩く父の話。

父は歩くのが好きだった。住まいの沿線上にある駅から、ちょっと面白い建物や地元の歴史ある遺跡などを繋いでルートを作り、ひたすら歩く。特に有名だったり話題だったりするわけでないところが大きなポイント。住宅街をかき分けて、公園を通り過ぎ、畑道かもしかしたら何方かの所有地に入って行ってしまったかも。歩くのが好きな人を集めて、セブンでおにぎりを買って、飲み物をもって行った。楽しみにしているお友達がたくさんいて、プランを立てたり、資料を集めたりずいぶん熱心だった。

私も何度も一緒に歩いた。あれは小学5年生のとき、電車で一番近くの駅からみっつ目位先の駅にかっこいい駄菓子屋があって、そこへ連れて行ってほしいと頼むと、歩いていくぞと言う。弟も行くという。遠いぞ~大丈夫かしらと思う。なんとか、やっと到着して、なんでも買っていいぞ、と言われると迷ってしまう貧乏性のわたし。帰り道は案の定、弟は泣き始めて父の肩車。家に着くとくたくたになってしまった。でもどんどん歩いていけば、どこまでもどんなところも行けることが分かった。

 

寡黙な父であったので後をどんどんついていくだけで、特に事前説明などは無し。ハイジのおじいさんみたいな人だったっけ。 ピウプより。