銀杏を八百屋に見つけ始めた。
銀杏はワンポイントの食べ物。有っても無くても良いような飾りの存在だが、あればあったで、なんとも嬉しいアクセント。
茶碗蒸しなどに一粒銀杏を見つけると季節感に心が弾む。
銀杏が大好物だという人はあまり聞かない。
私の父は銀杏が大好物だった。
茶碗蒸しに一つなど、シャラクせい!というような、銀杏好き。
20粒ぐらい銀杏を炒ったのをビールのつまみにしてた。
それを知ってか、父の友人が大量に銀杏をプレゼントしてくれていた。
銀杏を大量消費する人のために銀杏を拾い集めてくれるのだ。
考えてみれば銀杏を拾って、実から種を取り出すのは手間と根気そして時間のいる作業だ。
銀杏の実を腐らせて取り除く、これが得も言われぬ臭さで、土に一旦埋めて腐らせてから種を取り外すらしい。
実際そんなことをしたことはないが、落ちている銀杏の臭さだけで想像できる大変さだ。
そんなことまでして売り物にする銀杏は貴重で八百屋でも高価な商品だ。
父が頂いた銀杏を一握り、紙の封筒に入れてレンジでポップコーンのように爆裂させる。
そして熱々の割れた銀杏に塩をパラっと。
うんめ~どぉ~!と言って勧めてくれていたっけ。
酒飲みの父は臭いものが好きで、クサヤとかドリアンとか喜んで食べていた。
晩年は匂いが嗅げなくなってしまったので悲しかったかな。ピウプより。