片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

グレイハウンド

初めてバックパッカーで一人旅をしたのはアメリカのグレイハウンドというバスの一か月期限付きパスを買った時。一か月乗り放題だった。

その時はロンリープラネットという地球の歩き方みたいなガイドブックを持って行った。バックパッカーではなくて、アメリカではバジェットトラベラーという表現だった。

グレーハウンドは正に西部開拓の駅馬車の名残りを感じる。ジョン・ウェインの映画で観たような、大草原の小さな家のお話のような。小さな村から馬車から馬車へディーポで乗りついで小さな町からだんだんと大都会に向かっていく。アメリカに鉄道が引かれる前の昔話。

バスステーションはバスディーポと呼ばれ、広い広いアメリカの毛細血管のように小さな町までネットワークが広がっている。コロナ後グレイハウンドのあれらの路線は維持できているだろうか。

この長距離バスは様々な人種、お金のない人、節約している人そんな階層が乗り込んでくる。お金のある人は飛行機か自分の車だ。夜のデポでバスを待つのは怖い。そして夜にデポに到着してからも怖い。

どんな荒くれものが乗り込んでくるのか分からないバスの運転手は屈強な感じに見えた。肉付きがよく大くてたくましい手でハンドルを握っていた。

そのころの自分は怖いもの知らずの無鉄砲で運が良かっただけ、今ではもうグレイハウンドには乗れないだろう。

旅は計画通りにはいかない。むしろ計画通りに行かなかったとき面白い事に出会える系。ピウプより。