片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

見えない孤立と苦悩

東京大空襲の後、戦争孤児になり現在80代のホームレス男性を取材したニュース記事を読んだ。

戸籍もなく身寄りもなく、まるで自分が存在していないかのようにひっそりと生きてきた人のインタビュー。

子供の頃から天涯孤独の厳しい身の上で生きていくなどという事は、同じ境遇の人にしか理解のできない苦境の極致だろうと思う。

今までの人生を人に語る行為は彼にとって痛みと苦しみを反芻することになるのだろう。

いまだ戸籍を持たぬまま、そのまま誰にも知られずに終わってよいと言う。

 

現代の日本では不自由無く生きている人しか見えない。

見えないと思いたいのか、それとも無意識に無関心でいるのかもしれない。

近代都市のホームレスは何処にいても静に追い払われて見えないところに隠れて生きている。

時代の中の恵まれた時代、恵まれた場所に、恵まれたタイミングで偶然生まれてきて生きている事に感謝しつつも、偶然の不幸に見舞われた誰かはもしかしたら私なのかもしれないと思う。

 

インドのホームレスは積極的に不幸をアピールして物乞いをする。ここに存在しているぞと言わんばかりに。ピウプより。