片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

裸電球の出店

お祭りの季節がやってきた。

小学生の頃、父の勤め先のすぐそばの日枝神社という赤坂にある大きな神社のお祭りや縁日に行くのが楽しみだった。

出店にたいそう特色があった。煎り豆屋は豆を大きな煎り網でふっくらとそして香ばしく煎っていた。多種類の豆を紙袋に入れて売っていた。素朴な味、塩と豆そのものの味がおいしくて後を引く。

べっ甲飴は型に入れて固めるやつではなく、柔らかくした飴を垂らしながらフリーハンドでクジャクやウサギや蝶をたらたらたら~っと固めていく。芸術的で、職人的なべっ甲飴。裸電球に照らされた美しい芸術品。

針金のカラーモールで作ったお人形や動物の置物も職人が次々と作って空気をいれた透明のビニールに詰めていた。

持たされたおこずかいは500円か1000円ぐらい。出店を一周して買うものを決心してからもう一周。弟はすぐお好み焼きを買って食べている。煎り豆は外せないし、べっ甲飴も大きいのは買えなくても、小さな形にしよう。カラーモールのお人形も欲しいな。もっとおこずかいがあったらクジャクのべっ甲飴を買っちゃうのにな。とかいろいろ考えて楽しむ。あの裸電球の下できらきらした品物が並ぶ縁日の、お祭りの雰囲気がワクワクしてしまう。

実物大



あの頃は黒塀もたくさんあって、芸子さんの行きかう非日常なエリアだった赤坂。日枝神社ももっと鬱蒼としていたような。今度は縁日に行ってみようかな。ピウプより。