片道書簡のラブレター

大切な人を思い浮かべながら手紙を書きます。

小泉八雲の美しい恐怖。

小泉八雲怪談の中にある、茶碗の中という話がとても好きだ。

 

小学3~4年生ぐらいのころ、夏のホラー映画に凝って、

何か怖いお話の本を買ってほしいと母にせがんだら、買ってきてくれた本。

私が期待していたホラーというにはほど遠かったが、古典的恐怖でありながら、

日本の文学、名作であった。

 

でも何故、外国人作家が日本に帰化し、日本の古典、民話的な話を書き集めたのか?

また、ラフカデオ・ハーンは片目を失明しており、不思議な顔の写真があった。

そんなミステリアスな外国人作家が口伝えの昔話のような日本的な恐怖を美しく

表現するという、不思議な組み合わせに好奇心が湧いた。

 

茶碗の中は不可解な事象がどんどん、エスカレートして、拡大し、

結末もなく突然物語が終わってしまう。

そのシュールな恐怖、何とも言えない不安がスピード感をもって

迫ってくる。

そしてこの物語が始まる前の前置きがこの物語の導線になっている。

 

小林正樹監督怪談という白黒フィルムは怪談の世界感を映像化している。

その中にも茶碗の中がオムニバスの一つとして入っているが、

歌舞伎役者のそうそうたる面々でまさにこの物語に相応しい。

 

夏が来ると、怪談を読みたくなってくる。そして仕上げにこの映画も。

 

あなたも怪談読んだかしら?

日本人の情緒の質感をこんなふうに個性的に美しく描けるのは、小泉八雲さん。

私のロングセラー。読んでね。 ピウプより。